4. 交野市星田駅北まちづくり (2019年8月)

  -情報公開で公正なまちづくりを-

    

第二京阪沿道の交野市星田北まちづくりにおいて二国を南北にまたぐ星田北地区(大林組)は、去る6月27日付で行政不服審査請求となったが、星田駅北(戸田建設)の場合は、さらに深刻である。

 

星田駅北は平成30年10月、土地区画整備組合を設立した。組合設立時、反対地権者が10%(20人前後)いて、組合設立同意書と工事施工承諾書がもらえてないとか、外周境界立ち合いが未成立で、確定した事業計画書がつくれないとか、そういう状況下での組合設立自体が異常であるが、さらに致命的な問題がある。地権者にとって最大の関心事は減歩率である。

 

 星田駅北の組合では信じられないことが起こっている。減歩率0%の地権者が続出しているのだ。総額工事費や補償費は決まっているので、収入源である減歩で誰かが減歩率0%になれば、それは残りの他の地権者に負担がかかってくる。そういう不公平、理不尽なことが駅北で起こっている。

 

星田駅北役員5人、F地区で減歩なしの怪

 

F、G地区(約1.5ha、20人)は、駅北副理事長2名を含む役員5名が土地の45%を所有しているが、減歩率は0%.同じ組合員としてきわめて不公平である。さらには、多額の税金を投入する事業としてきわめて不適切であるにもかかわらず、組合も行政も説明責任を果たしていない。

 

F地区は平成27年のまちづくり案では、もともと区域内に入っていたが、「反対者が多い」として区域から外したもの。ところが、平成29年の都市計画決定の区域には入っていた。調整区域の土地だったものが、なんの減歩負担もなしに市街化宅地になった。F地区は濡れ手に粟の悪しき前例となってしまった。

 

星田高田線、東高野街道、汽車道沿道の約30軒の居住者も、平均減歩率40%の減歩に強い難色を示していた。しかし、減歩なしのF地区の前例をつくったため、星田駅北組合役員会は上記3街道沿道30軒弱についても、「減歩なし、移転補償費付き」の条件を認めざるをえなくなった模様である。

 

F、G地区に加えて、沿道30軒弱も減歩負担なしで(または数%の例もあるとの情報が流れている)調整区域の土地が宅地となって道路、下水道のインフラ環境は整備され、土地の評価額は数倍になる。

 

機能しない交野市議会

 

これらの費用は誰が負担するのか。それは農地を持っている残りの地権者と、市民が負担する税金が使われる。そうする以外に事業計画書の収支が合わないのである。いずれにせよ残る地権者と公費でもってインフラ整備と移転補償費がまかなわれる。

 

星田駅北のまちづくりでは、こんな理不尽なことがまかり通っていて、そして役員と当事者以外は誰もこの事実を知らされていない。チェックすべき駅北の役員会のメンバー自体が減歩無しの受益者であるためチェック機能が働かない。

 

頼みの交野市議会も山本けい議員が先の交野市長選立候補のため辞職したので、議会のチェック機能も十分働かない。およそ、土地区画整理事業にあっては、あってはならない不公正かつ不適切な事業遂行が駅北役員会と業務代行者の戸田建設によってなされている。(駅北役員会の中には現職市議会議員も含まれている。)

 

受益者負担の原則崩れる

 

もとより区域内居住者に責任はない。星田駅に近い静謐な田園地区に昔から住んでいたのに、組合の総会で決定したからといって「平均減歩40%で、父祖の地から移転せよ」といわれれば、誰でも横を向くだろう。

 

しかし、土地区画整理事業は受益者たる地権者負担が原則である。居住者の反対で事業が進まないから、平均減歩率40%のところを反対者の負担を0%ないし数%にするということになれば、地権者間の公平性が損なわれる。

 

ましてや、インフラ整備に30億円余の市民の税金が使われるのである。星田駅北組合それに事業代行者たる戸田建設、さらに交野市行政当局は、F、G地区および地区内沿道居住者の減歩負担を減免するということについて、他の地権者および市民に対し説明責任を果たすべきである。

 

情報公開で市民参加のまちづくりへ

 

星田北組合と大林組がまちづくりに取り組んだのは、平成23年であるが、星田駅北と戸田建設はそれにより4年遅れの平成27年にまちづくりに着手した。両組合は都市計画道路星田駅前新線の連結一貫性と国の補助金申請期限の問題があり、平成29年4月共同で全45haの都市計画を申請した。

 

しかし、後者星田駅北の4年間の遅れはいかんともしがたく、設立時10%約20名の反対地権者がいたにもかかわらず、強引な組合設立へと走った。結果は地権者間の不信・反発となり、情報公開を求める市民運動となって泥沼化の様相を呈してきた。

 

年間一般予算規模230億円の交野市にとって、国税を含め53億円もの税金を投入する星田北・駅北の事業は公共事業そのものである。その公共事業において、公益性・公平性が疑われる事態が噴出しているのである。

 

交野市行政当局は、総事業費155億円もの市政始まって以来の大事業を組合まかせ、ゼネコンまかせにするのでなく、公益性・公平性を担保すべく、関係する地権者そして市民に対し情報を公開し、説明責任を果たすべきであろう。

 

星田北まちづくりについて関心度の低い交野市議会にあって、平成28年12月の議会で松村ひろ子議員は「星田駅北地区では現時点で20%近い営農者や居住者の同意が得られていない。行政は業者まかせでなく、もっと真摯に地権者と向き合うべきだ」と早い段階から強く警鐘を鳴らしている。

 

その後の議会でも、「星田高田線廃道は住民の意向を無視したもので、その拡張、整備にこそ経済合理性がある。」さらには、「500億円近く借金をかかえる交野市が、この事業に30億円余の税金を投入することに対し、市民説明会を開き市民参加のまちづくりとするよう」求めている。

 

来たる9月の交野市議選では、星田北まちづくりが大きな争点となる。